ボールデフのメンテナンス
ミニッツのようなダイレクトドライブのクルマには欠かせないボールデフ。組み方やメンテナンス方法・頻度などは人それぞれで、個性の出るパーツでもあります。ここではそういった味付けを加味しないパーツの交換やメンテナンスについて触れてみます(基本的には出荷時状態を再現する・近似させることを念頭に置いています)。
ミニッツのボールデフを構成するパーツと、それぞれのパーツに対してチェックしておきたい項目はおおよそ以下のとおりです。
+アクセルシャフト
・曲がっていないかどうか
→曲がっている場合は交換
+ハウジング
・タイヤカスやグリスの汚れがついていないか
→汚れている場合はパーツクリーナーで洗浄
+スパーギア
・ギア欠けや傷みがないか
→欠けや傷みがある場合は交換
・タイヤカスやグリスの汚れがついていないか
→汚れている場合はパーツクリーナーで洗浄
+プレッシャープレート
・デフボールによるリング状の傷がないか
→傷がある場合は研磨もしくは新品に交換
+デフボール
・それぞれの大きさが整っているか
→同じサイズのものに交換
+ベアリング
・きちんと回転するか
→回転しない場合は洗浄および注油
+Oリング
・しっかりと固定できるか
→デフが締まらない場合や他のパーツに異常がない場合でも動きにムラがある場合は交換
・ケミカルによる変質がないか
→変質がある場合(オイルなどでサイズや硬度が変わってしまっている場合など)は交換
+Eリング
・甘くなっていないか
→外れやすくなっている場合は交換
+デフグリス
・タイヤカスなどで汚れていないか
・グリスが切れていないか
→どちらの場合でも古いグリスを洗浄したのち新たにグリスを塗布
純正オプションパーツのボールデフには左後輪用ハブも付いていますがデフの効きに影響するパーツではないため省略しています。
デフの締め具合は説明書記載の4mmが基準ですが、プレッシャープレートを研磨した場合などは変更する必要が出ることもあります。
ボールデフはギアデフに比して同じコンディションを再現することが難しいパーツです。他のパーツでも同じですが、メンテナンスをすれば必ずクルマが走るようになる、というものではありません。セッティングであれメンテナンスであれ、クルマおよびパーツに手を加える・入れると必ずクルマの挙動に変化があることを理解し、自分に合う走りをしてくれるクルマの状態を再現することを心がけてみてください。
上の写真はオープンクラスのMAZDA 787B : MR-030 VEに使用しているボールデフを分解したところです。プレッシャープレートを鏡面研磨して組み直したのちフルサイズのウレタンコースを250周ほど(およそ4パック)した状態です。タイヤカスによる汚れはもちろん、2枚あるプレッシャープレートの1枚にデフボールによる傷ができていました。
この状態でもクルマが走ってくれていれば問題はないかもしれません。もちろん走る走らないに関わらずメンテナンスをする方もおられると思いますし、コンディションが大きく変化してからのメンテナンスはクルマの挙動を大きく変えてしまうことになるので、こまめなメンテナンスを求める方もおられると思います。このあたりは各々の意識や判断に委ねられるところです。
僕はあまりボールデフを頻繁にメンテナンスするほうではありませんが、今回はプレッシャープレートの研磨をしたのち、組み直しました。
パーツひとつひとつに対する向き合い方の違いも、ホビーの楽しみ方がそれぞれだということを感じさせてくれます。