JOURNAL du Mini-z & ★☆M

ミニッツカップファイナリストの備忘録ブログ。

プロポのレスポンススピードと分解能

プロポは実車で言えばスロットル・ブレーキ・ステアリングといった本来マシンに乗車したドライバーが行う操作を操縦台から行うための道具です。そして、その操作に対してマシンがどういう動きをするかといったマシンのコンピューター部分を担うものでもあります(ミニッツの場合は基盤側のI.C.Sセッティングもあるので、より詳細かつ複雑なセッティングが可能です)。

そのプロポによるマシンの動きを左右させるのがレスポンススピードと分解能です。レスポンススピードとは人間が操作をしてからマシンが動くまでのタイムラグ、分解能とは、人間の操作の始点から終点までをどの程度細かく再現できるかを示します。つまり、レスポンススピードが速く、分解能が細かいほど人間の動きにシンクロしていくわけです。なるほど、シンクロすればするほど自分の思う通りに動くからいい、と思いがちですが、ここにはそうではない理由も隠されています。それがエキスパートでもシンクロ率の低いプロポを使う理由になるわけです。

まずレスポンススピードですが、これは自分が動かしたスロットルもしくはステアリングの操作と実際にモーターやサーボが動くまでのタイムラグです。レスポンススピードが速く、操作に一体感がある場合は加速やブレーキ、ステアリング操作に遅れが出ないため、曲がりはじめやスロットル操作のリニア感が強くなり、ピーキーな印象が強くなる場合があります。これを避けるために、レスポンススピードを落とす、または敢えてレスポンススピードの遅いプロポを使う理由が出てきます。レスポンススピードが遅い場合、自分が素早い動作をしてもマシンはすぐに動かないため、イン側ぎりぎりに攻めようとした場合、見込み切り(曲がるタイミングよりごく僅か早いタイミングでステアリング操作をすること)をしなければなりません。つまり、レスポンススピードが遅いプロポを使う場合、曲がろうと思ったときにステアリングを切ってもワンテンポ遅れるため、インにつけず安全なラインにマシンを置くことができるようになるわけです。その代わり、切り返しなどではどんどんマシンが遅れて動いていってしまうため、人間側が勝手に(しかも無意識に)早めにステアリングを切っていたり必要量より少し大きく切っていたり(これも見込み切り)することがあります。これにより、切り返しが速くなったと感じたりステアリング量が大きくなったりするため、感覚的にはよく曲がるマシンだと感じたりすることがあります。逆にリニア感の強いプロポの場合はどこまでも自分の意思と同じ動きをするので、攻めようと思えば自分が攻めるライン取りやスロットル操作をすればそのままマシンが動いてくれることになります。ただしレスポンススピードの遅いプロポのような錯覚が起きないため、自分の操作のミスはそのままマシンの挙動に現れてしまいます。これは後述の分解能にも同じ要素があります。

次に分解能ですが、スロットルおよびステアリング操作に対してどの程度細かく再現できるか、という性能です。スロットルを例にすると、握り出しからベタ踏みになるまでのスロットル操作が、あるプロポでは10段階、あるプロポでは20段階でマシンが動く、といった感じです(実際はもっと詳細に動きます)。もし、これが2段階しかない場合、オンとオフのみになるわけですから、モーターはいきなりフルスロットルになります。これではうまく走ることができません。そのために分解能を細かくする必要があるのです。これが細かいほどスロットル・ステアリング量に対してリニアにマシンが動くことになります。ですが、これもリニアになるほど一定の動作をするためには自分の操作が正確でなければならず、分解能がある程度粗いほうがマシンが同じ動きをしやすくなる、というメリットがあるのです。先の例で言うと、20段階の場合、マシンを細かく動かすことができますが、操作が一定にならない場合はほんの少しの分解能の差がそのまま出てしまい、思ったより曲がったり曲がらなかったり、または加速したりしなかったり、といったことになります。ですが10段階の場合、3段階と4段階は同じ箱の中に入るわけですから、少々操作がずれたとしてもマシンの動きには影響が出ないわけです。

つまり、レスポンススピードが速いことや分解能が高いことが必ずしも速さや安定性に寄与するものではない、自分に合う道具を使うことが速さや安定性の基礎となる、ということなのです。

ミニッツのハイエンドプロポKO EX-1はレスポンススピードとトリムレートを変更できますので、ある程度上記のような操作の誤差に対しての調整が可能です。ですが、EX-1のレスポンススピードをノーマル(いちばん遅いモード)にしても、それまでのハイエンドプロポEX-10 ユーラスよりもレスポンススピードが速いので、それでもマシンの動きに危うさを感じる(いつも同じ動きをさせたいがそうならない・そうできない)場合は敢えてEX-10 ユーラスやFUTABA 3PKを選んだりします(周囲ではSANWA M11を選ぶ方はほぼありませんでした。僕自身はしばらく使っていましたが、スロットルトリム位置が合いにくいので避ける方が多いように思います)。トリムレートに関しては、数値を粗くすると直進させるためのトリムや左右のトラベル差を調整するバランス設定も粗くなるため、マシンが直進できなくなったり(左右のどちらかに曲がって走ってしまう)左右のトラベルのバランスが合いにくくなったりします。EX-1ユーザーの方はトリムレートは細かいまま、レスポンススピードを変更している場合がほとんどかと思います。

ちなみに、操作感もプロポによって大きく異なります。個人的にはFUTABA 3PK SUPERとKyosho KT18のフィーリングが好みです。どちらもクセのない動きで、特にFUTABA 3PK SUPERはマシンにしっとりとした落ち着きのある動きをさせます。自身はSANWA M11S、KO EX-1と使っていますが、どちらもソリッドでどちらかというと角の立つシャープな動きをさせるプロポだと感じます。

プロポも消耗部品が多いため、サポートを終了しているプロポを使用する場合はある程度次がないことを覚悟しながら使用しなくてはならなくなります。「セッティングは人それぞれ」の項でも書きましたが、マシンの再現性を優先させると、プロポのサポートの問題が出てきます。古いプロポ・サポートを終了しているプロポを使用する場合はそこを考慮しながら使用する必要があります(自身は再現性を優先させてEX-1を使用しています)。

どちらにしてもマシンの一部、そして自分の一部であるプロポです。性能の高さ(詳細なプロポ設定やレスポンススピード、トリムレートなど)だけでなく、自分に合う、という要素を重要視しながら選ぶ、またはプロポセッティングをするとよいのではないでしょうか。