JOURNAL du Mini-z & ★☆M

ミニッツカップファイナリストの備忘録ブログ。

モーターのKV値(回転数)とトルク、ギア比と仕事率の関係

トルクとは、クルマのタイヤをまわす力(フォース)。

馬力とは、ある決められた時間内に、どれだけ重い荷物を、どれだけ遠くまでに運べるかを、馬何頭分に当たるかで表示した仕事率の単位。1馬力は735.5W(ワット)。

馬力(仕事率)=トルク×回転数

で表すことができます。

これを前提として、

モーターに定量の電圧・電流量を供給している状態であれば、同じ効率のモーターであればトルクや回転数に相違があっても仕事率(つまり馬力)は同じ値になります。

もうお分かりでしょうか。

KV値が低いと回転数が低いがトルクが強い
KV値が高いと回転数が高いがトルクが弱い

ということです。KV値が高いということが必ずしも優れた(高効率)モーターだということではないのです。

では、なぜ2015年までのJSCCではKV値の高いモーターが好まれたのでしょうか。

それは、6Tというピニオン指定が、KV値の高いモーターの低いトルクをカバーできるギア比だったからです。最も効率のよいトルクと回転数のバランスがとれたモーターのKV値がレギュレーション上限付近のものだったわけです。

2015年レギュレーションでは、このギア比指定がなくなりました。これによって、モーター特性に合わせた最適なギア比を与えることが可能になっています。

今回のレギュレーション変更は、どの程度のモーターを使用可能にできるものになっているのでしょうか。

そこで、2016年GTクラスのレギュレーション仕様のマシンで

1:5300 KV
2:5600 KV
3:6250 KV

という3種類のモーターを用意してみました。

これを実走して同じタイムになるギア比を探ってみると、ピニオンの歯数で3歯ほどの差となりました。

この3種類のモーターが同じタイムになるということは、同じ物体(クルマ)を同じ距離を同じ時間で動かしたことになります。つまり仕事率は同じということになります。モーター特性にギア比が回転数やトルクを付加してマシンを動かすのに適正なバランスにしてくれているわけですね(仮に1のモーターに3のギア比を与えると回転数が足りず、3のモーターに1のギア比を与えるとトルクが足らないためにタイムが遅くなることになります。)。

ギア比はこのように、トルクをカバーしたり、逆に回転数を確保したりすることができるもので、これをモーター特性と組み合わせることによって最適なトルクと回転数のバランスをマシンに与えることができるわけです。ただし、同じタイムを出した3つのモーターですが、この3つのモーターがすべて同じフィーリングになるわけではありません。ギア比によって効率のよいスピード域や回転数も異なります。レイアウトやドライビング、バッテリー消費量などを考慮しながらベストを探すことがセッティングのポイントですね。

以上のように、モーターが同じ仕事率であるとするならば、KV値(つまり回転数)がモーターの性能のすべてを表しているものではないことが分かります。今回のテストでは5300KVのモーターでも6000KV台のモーターを搭載したマシンとレースができるレベルのポテンシャルを発揮できることが見えてきました。さて、僕はどんなモーター×ギアレシオを選択したでしょうか?笑。変態らしいものが出来上がっていると思いますので、気になる方はマシンをちら見してみてください笑。